インビザライン治療中に痛みが出るのはなぜ?我慢せずにできる対策とは
インビザライン治療中に痛みを感じるタイミングは、主に3つあります。
①マウスピースを初めて装着したとき、②新しいマウスピースに交換したとき、③長時間外した後に再び装着したときです。
痛みの原因は、歯が少しずつ移動する際に生じる圧力によるものです。
対処法としては、鎮痛剤の服用ややわらかい食べ物を選ぶこと、そして決められた装着時間を守ることが有効だといえます。
マウスピースの調整や、交換前のマウスピースに戻すことも有効ですが、必ず歯科医師に相談してから行いましょう。
本コラムでは、インビザライン治療中に痛みが出るタイミングと原因を解説します。無理なくインビザライン治療を続けるためにも、ぜひご参考にしてください。
インビザラインで痛みを感じる主なタイミングとは
インビザライン治療中は、特に痛みを感じやすいタイミングがあります。
本章では、痛みを感じるタイミングと原因について解説します。
マウスピースを初めて装着したとき
マウスピースを装着すると、歯に矯正力が加わるため、圧迫感や締めつけによる痛みが生じる場合があります。特に、初めてマウスピースを装着する方は、痛みを感じやすい傾向があります。
マウスピース装着時の痛みは、歯が新しい位置へ移動しようとする際に発生する自然な反応で、治療にともなう一時的なものです。マウスピースの装着を続けるうちに慣れ、徐々に痛みが軽減します。通常は1週間以内に痛みが和らぐため、安心して治療を続けてください。
次のマウスピースに交換したとき
新しいマウスピースに交換した直後は、初めてマウスピースを装着したときのような痛みを感じる場合があります。新しいマウスピースによって、歯が次の段階へと動き始めるため、歯や歯ぐきに一時的な負荷がかかることで痛みが生じます。
マウスピースを交換するたびに痛みを感じる可能性はあります。しかし、矯正治療は歯を動かす過程である程度の痛みをともなう治療方法であり、歯を理想の位置へと移動させるためには避けられない側面もあります。治療が順調に進んでいるサインとも捉えられるため、過度な心配は不要です。
マウスピースを長期間外し再装着したとき
マウスピースを外したまま長期間過ごすと、再装着時に強い圧迫感や痛みが生じる場合があります。装着時間が不足したために生じる痛みは、自己管理の徹底で防げます。
インビザライン治療では、1日22時間以上のマウスピース装着が必要です。装着時間を守らず、食事や歯みがき以外の時間にマウスピースを外したまま過ごすと、歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」が起こりやすくなります。
マウスピースが合わなくなると作り直す必要があり、治療に遅れが生じる恐れもあるため注意してください。
痛みの原因は?歯の動き・圧迫・口内トラブルの可能性
インビザライン治療で感じる痛みの主な原因は、歯が移動する際の痛みです。
本章では、歯が移動する際に生じる痛みに加え、マウスピースやアタッチメントによる痛みについても解説します。
歯が動く際に歯周組織が圧迫されるため
インビザライン治療では、マウスピースによって歯に持続的な圧力が加わることで痛みが生じます。歯を移動させる過程で、歯を支えている歯槽骨や周囲の組織が変化するためです。
歯槽骨と歯根の間には歯根膜(しこんまく)という組織があります。歯根膜には歯のクッションのような役割があり、外から加わる力を吸収して歯や骨への衝撃を和らげています。また、歯が移動する際は歯根膜の伸縮が重要です。
マウスピースによって歯に力が加わると歯根膜が刺激され、歯が動く方向の歯根膜は縮み、反対側は引き伸ばされます。
次に、縮んだ側では歯根膜が元の厚さに戻ろうとして骨を溶かす細胞の働きで骨が吸収され、反対側では骨を作る細胞によって、骨の形成が進みます。骨が吸収と形成を繰り返し、歯が徐々に移動していきます。
歯が移動する過程で痛みが生じるのは、歯周組織が炎症反応を起こすためです。炎症による刺激が痛みとして現れます。
マウスピースやアタッチメントが口内に当たるため
マウスピースやアタッチメントの端が鋭利になっていると、頬の内側や歯ぐきに接触して痛みが生じる場合があります。
マウスピースやアタッチメントが繰り返し口腔内の粘膜に当たると、痛みだけでなく、炎症を引き起こす恐れがあります。放置すると症状が悪化し、食事や会話にも支障をきたす場合があるため注意してください。
歯科医院ではマウスピースやアタッチメントを削ったり調整したりできるため、違和感がある場合は早めに歯科医師に相談してください。
インビザライン治療で用いるアタッチメントの詳細については、以下のコラムをご参考にしてください。
インビザラインのアタッチメントとは
インビザラインの痛みを軽減するためにできること
インビザライン治療中の痛みには、いくつかの対処法があります。状況に合わせた適切な対処で痛みを軽減できる可能性があるため、本章で紹介する対処法をご参考にしてください。
交換前のマウスピースに戻す
マウスピース交換後の痛みが強い場合は、無理に新しいマウスピースを使わず、交換前のものに戻すのも一つの方法です。慣れた装着感により違和感が減り、痛みが緩和する可能性があります。
急激な変化を避けることで、歯への負担も軽減されるため効果的な対処法です。しかし、次の段階のマウスピースを使わない限り治療が進まないため、まずは歯科医師に相談し、許可が出てから実施してください。
鎮痛剤を服用する
痛みが強く、食事や睡眠に支障をきたす場合は、鎮痛剤で痛みを抑える方法が有効です。適切な用量と服用間隔を守れば、安全に痛みを緩和できます。
市販薬でも効果はありますが、薬の成分が治療に影響を及ぼす可能性があるため、鎮痛剤を服用したい場合は歯科医師に相談してください。
柔らかい食材を食べる
マウスピース装着時の痛みを軽減するには、食事内容の調整も必要です。痛みが強く咀嚼が辛い場合は硬い食材を避け、以下のような柔らかい食材を選んでください。
・おかゆや雑炊
・よく煮込んだ野菜やスープ
・豆腐や卵料理
ただし、熱さや冷たさが刺激となり、痛みにつながる可能性もあるため注意が必要です。また、痛みが緩和するまでは、ゆっくりとした咀嚼を心がけましょう。
マウスピースの装着時間を守る
インビザライン治療中の痛みは、マウスピースの継続的な使用で軽減します。マウスピースの装着時間を守ることは、インビザライン治療をスムーズかつ効果的に進めるために欠かせません。
長時間マウスピースを装着しなかったり、何度も着脱を繰り返したりすると、痛みやトラブルの原因となるため、装着時間は厳守してください。
マウスピースやアタッチメントを調整する
マウスピースやアタッチメントが頬の粘膜や歯ぐきに当たって痛みがある場合は、突出した部分を削り、滑らかにすると痛みの原因を取り除けます。
また、矯正用ワックスの使用も効果的です。マウスピースやアタッチメントの突出をカバーできるため、痛みの軽減が期待できます。
痛みを放置すると口内炎のようなトラブルに発展する恐れがあるため、矯正装置に不具合があると感じた場合は歯科医師に相談してください。
痛みが続く・強いときは歯科医師に相談を
本章では、インビザライン治療で痛みが続いたり、強くなったりする原因と対処法を解説します。
痛みが続いたり強くなったりする原因
マウスピース装着後の痛みが軽減しない場合は注意が必要です。通常、痛みはマウスピースの使用を続けていると徐々に落ち着きますが、痛みを軽減する対処法を試しても改善しない場合は、何らかの問題が生じている恐れがあります。
例えば、インビザライン治療中に痛みが続いたり、強くなったりする原因として以下が挙げられます。
・マウスピースが歯に合っていない
・一部の歯に負担がかかっている
・治療の進め方が誤っている
痛みが続いたり、強くなったりする場合は、自己判断でマウスピースの装着を中断せず、歯科医師に相談してください。
マウスピースの調整や治療計画の見直しが、痛みの軽減につながるケースがあります。痛みの原因が不明なまま治療を続けると、マウスピースの作り直しや治療期間の延長につながる恐れがあるため、早めの対処が必要です。
インビザライン治療の痛みは適切な対応で緩和できる
インビザライン治療における痛みの原因は複数あります。痛みを軽減するには、状況に応じた適切な対処が必要です。
可能な限り痛みを軽減しながら治療を続けていくために、必要に応じて歯科医院で適切な処置やアドバイスを受けてください。
インビザライン治療中の痛みや不安があればぜひ当院にご相談ください。当院は、痛みが少ない矯正治療を目指しており、患者さまに寄り添う対応を心がけています。
以下の動画では、インビザライン治療とワイヤー矯正で感じる痛みについて比較しているため、ぜひご参考にしてください。

YouTubeショート動画/【インビザライン】インビザラインの治療は痛いのか?
Q1:マウスピースを交換した際の痛みはどのくらい続きますか?
A1:マウスピースを交換した当日から2〜3日をピークに軽減していき、通常はおよそ1週間で気にならない程度に落ち着きます。
Q2:痛みが強い時はマウスピースを外してもよいですか?
A2:マウスピースを長時間外すと歯並びが後戻りを起こし、計画通りに治療が進まなくなる可能性があります。痛みが強い場合は早めに歯科医師にご相談ください。