予防ケア

口元はお顔の中でも第一印象に大きく影響するポイントなので、「歯並びに自信がない」と自然に笑えず悩んでいるという方は多いのではないかと思います。矯正歯科は、こうしたコンプレックスを解消する方法のひとつでもありますが、実は歯並びがきれいになると健康にも大きなメリットがあります。歯並びを整えることで噛み合わせを改善しますが、それによって汚れが溜まらず歯磨きがしやすいお口になり、虫歯や歯周病の予防につながります。また、噛み合わせが治ることで神経系統の痛みや生体バランスが整い、全身の健康に良い影響をもたらします。

進化してきた矯正治療

矯正歯科の古い記録では、1728年にフランスの歯科医師で歯学者のピエール・フォシャールが、1803年にはフォックス・ジョセフが著書で記載しているものが残されています。1841年には、フランスの歯科医・ルフロンが、歯間を広げる弾力性のある金属器具を歯の裏側から取り付けて矯正する方法を記しています。
1880年に『口腔の奇形』という専門書が発行され、歯科矯正学という学問が専門分野になります。著者であるノーマン・ウィリアム・キングスレーは、機械的矯正装置の発展にも寄与したとされています。
1900年代に入ると、現在のワイヤー矯正の元祖となる「エッジワイズ法」が、エドワード・アングルによって考案されます。このときは、歯に金属ベルトを巻いてからブラケットを溶接するという方法を取っていました。エッジワイズ法では四角い断面のワイヤーを使っていましたが、断面を丸くした「ベッグ法」が提唱され、歯に負担をかけないようになりました。しかし、ワイヤーの調整が難しいため、「エッジワイズ法」のアーチワイヤーを細くするという方法が広がることになります。

1980年代には日本の三浦不二夫・増原英一によってダイレクトボンディングシステムが開発され、歯に直接ブラケットをつけて矯正していくという方法が生まれました。この治療方法が現在のスタンダードにもなっています。