歯の矯正、「矯正歯科」の歴史はいつから始まっていた?

最近では審美観点から、あるいは日頃の歯磨きやフロスなどでメンテナンスしやすくするために行う方も増えてきている矯正治療。そもそも矯正を行う矯正歯科の概念は、一体いつ頃からスタートしたのか?と疑問に思ったことのある方もいるのではないでしょうか。

目覚ましい発展を遂げる、歯の矯正の歴史についてご紹介していきます。

矯正歯科の歴史とは

矯正は頭蓋の発育やかみ合わせ治療など幅広い範囲で研究が行われてきており、歯や顎などの形についての研究は古代ギリシャ時代からあったともいわれています。その頃は指で押すなどして矯正することや、矯正装置なども出土しているとのことで、非常に古い歴史をもった治療だといえます。

近代の矯正器具を使った矯正治療が始まったのは1700年代といわれており、そこから矯正治療が本格化したといえます。

進化してきた矯正治療

1728年にはアーチ状の金属板を用いた矯正装置がフランスの歯科医師で歯学者のピエール・フォシャールが著書の中で記載したことを皮切りに、1803年には乱ぐい歯の改善に使ったチンキャップなどについてフォックス・ジョセフが著書で述べています。

フランスの歯科医ルフロンは1841年の著書で歯間を広げる弾力性のある金属器具を歯の裏側からつけて矯正する方法を記しています。

さらに1880年に発行された、ノーマン・ウィリアム・キングスレーの『口腔の奇形』という専門書から、歯科矯正学という学問が専門分野となりました。ノーマン・ウィリアム・キングスレーは機械的矯正装置の発展にも寄与しているとされています。機械的矯正装置は子供の矯正に使われ、顎の成長についても調整できるものです。

その後の1900年代に入ってから、エドワード・アングルが科学的な分析を元に、治療法を編み出し、装置自体の改良も行ったことで歯科矯正学を確立したとされています。

現在のワイヤー矯正の元祖となるのがエドワード・アングルが考えた「エッジワイズ法」です。現在のようにブラケットを歯につけることはできなかったため、歯に金属ベルトを巻いてからブラケットを溶接するという方法を取っていました。

その後、金属ベルトがアーチのワイヤーになり、その後1本1本の歯に装置をつけて矯正を行う形に変化していきました。そして、矯正治療の時間を大きく減らしたのです。これは現在でも使われている治療法です。

その25年後に提唱されたのが断面が丸いワイヤーでの矯正を行う「ベッグ法」です。「エッジワイズ法」は四角い断面のワイヤーを使っていました。「エッジワイズ法」よりも歯に負担をかけない方法として開発されたのです。

しかし、ワイヤーが細く歯が傾くなど調節が難しいという問題が発覚し、「エッジワイズ法」のアーチワイヤーを細くして負担を減らしながら矯正を行う方法が人気となり一気に広がりを見せたのです。

1980年代には日本の三浦不二夫・増原英一によってダイレクトボンディングシステムが開発されました。これまで不可能だった歯に直接ブラケットをつけて矯正していくという方法です。以降はこの矯正治療が一般的となりました。

最近の矯正歯科メニュー

昨今ではさらに矯正歯科のメニューが広がり、患者のニーズに合わせた形に変化してきています。

  • 透明なワイヤー矯正

矯正器具のシルバーが見えないように、透明のワイヤーやセラミックで歯の色にあわせて矯正することができます。キレイな歯並びになるためにシルバーの矯正器具をつけることに抵抗感のある方も多いため、開発されました。

  • 裏側矯正

先ほどと同じく、矯正していることに気づかれたくない患者が多かったため、歯の裏側から矯正することができる裏側矯正も開発されました。表からは見えないけれども矯正がしっかりできるということで、見た目を気にする方でも安心して行える矯正です。

  • マウスピース矯正

最近人気になっているのがプラスチック製のマウスピースを用いた矯正治療です。食事や歯磨きの際に取り外すことが可能なので、使い勝手もよくお手入れしやすいというメリットがあります。歯科医院によってはホワイトニングも同時にできるというメリットを伝えている場合もあります。

以前はワイヤーよりも矯正力が弱いため、治療期間が長くなること。そしてマウスピース矯正では対応できない難易度の矯正があるといわれていましたが、最近ではワイヤーと変わらない期間、そして幅広い難易度の矯正ができるということで人気になってきています。

また、点ではなく面で動かすため痛みが出にくいのも患者に喜ばれるポイントです。

  • インプラント矯正

インプラントと聞くと歯がなくなったときに行う治療というイメージがありますが、インプラントで埋め込んだネジを基準として歯列を矯正していく治療法です。歯を基準としてしまうと、歯自体が動いてしまって基準がずれてしまうという問題がありましたが、インプラント矯正の場合はその心配がありません。

治療自体も数ヵ月と短い単位で行えることが魅力ですが、骨にネジを埋め込むための外科的な手術と骨自体に適性がないとできないことに注意が必要です。

  • 骨切矯正術

歯が刺さっている顎の骨自体を切って、骨ごと歯を移動させるという矯正治療方法です。こちらも外科的で大規模な手術が必要なこと、費用が高額になること、そして手術からの復帰に時間がかかることがデメリットとなるでしょう。しかし、スピード感を持って治療することができるため、矯正では難易度が高く、時間がかかってしまうところを急いで矯正したいという方にはピッタリです。

進化し続ける矯正歯科を知って、自分に合った治療を行おう

このように紀元前から注目されてきた矯正歯科は、現在さまざまな方法を選ぶことができるまでに発展してきました。かみ合わせによる悪影響や、歯並びが悪いことが原因のメンテナンス不足による歯周病リスクなどを回避することができるようになる矯正。

健康と美しさを両立することができる矯正治療を知って、ぜひ美しくいつまでも食事を楽しめる歯を保ってみてください。