歯を削ることはリスク?なぜリスクになるのか、医学観点から解説!
あなたはこれまでに下記のような治療を行ったことがありますか?
「虫歯ができていたので、歯を削ってセメントを詰めて治療した」
「審美歯科で相談し、前歯が大きいため削って全体をバランス良く仕上げた」
「差し歯を作るために歯を削った」
「被せ物(クラウン)のために歯を削ったことがある」
このような治療を行い、歯を削ったことのある方は多いのではないでしょうか。
歯科医院に行った際、一般的な治療法とも思える歯を削る処置。実は医学的に見ると大きなリスクを伴う処置なのです。まずはその危険性を知り、どうすればそのリスクを防げるのかについて学んでいきましょう。
歯を削るとどんなことが起きるのか
これまで一般的とも思われていた、歯を削るという治療法。しかし、最近では歯を削ることがかえって歯を弱めることが注目されてきているのです。
歯は削った分だけ弱る
現在成人している方の中には、「歯を削るなんて歯科医院で真っ先に行う治療法だ」と思う方も多いのではないでしょうか。しかし、最近では歯を削ったことによってどんどん歯が弱ってしまっているという症例が多く出てきているため、逆に悪影響なのではという説が有力になってきているのです。
硬いエナメル質がなくなる
人間の体の中で骨よりも硬いのが、歯の表面を覆っているエナメル質。削ってしまうとその強さは二度と戻りません。つまり削ってしまうと、しっかり歯を守ってくれていたエナメル質がなくなり、無防備な状態にさらされてしまうのです。
食べ物や飲み物にはたくさんの酸があり、歯を溶かしてしまう可能性も高いです。そして失ってしまったエナメル質は、どうやっても戻りません。詰め物をしたとしても、隙間は必ず発生してしまうため、そこからまた虫歯になるなどのデメリットが出てくるのです。
削ると歯に細かい無数のヒビが入る
歯を削った部分のエナメル質が完全になくなっていなくても、エナメル質には細かいヒビが入ってしまいます。そのヒビの部分から、エナメル質の下の柔らかい象牙質と呼ばれる層が虫歯になってしまう可能性もあるのです。見た目上はわかりませんから、気づきにくいですしヒビから虫歯菌が入って内側が虫歯になっているとは思えません。しかし、このような状況も起こりうるのです。
抜歯リスクが高まる
このような状況が続くと、また歯を削って詰め物、あるいは被せ物をすることになります。しかし、それにも隙間があるため、また虫歯になって削る・被せるが続いていきます。そうしていくうちに歯はどんどん小さくなり、象牙質や、歯髄(神経や血液、細胞があるところ)がむき出しの状態になる可能性があるのです。
そしてついに神経もだめになれば、神経を抜くことになります。しかし、神経を抜くという行為は、歯を削る以上に歯をダメにしてしまいます。
神経のある歯髄という組織には血管や細胞があって栄養を運んでおり、ある程度は治癒・修復する働きがあります。しかし、神経を抜いてしまうと治癒力さえもなくなるため、虫歯菌が入ってきても対処ができなくなってしまうのです。
こうなってくると、残された手立ては抜歯しかありません。抜歯してしまうとさらなるリスクが追加されます。
骨が痩せる
抜歯してしまえば、今まで咀嚼で刺激を得ていた骨が歯がなくなったことによってあっという間に痩せていき、インプラント治療もできなくなるような顎の状態になってしまいます。もしすでに抜歯してしまった場合は、すぐにインプラントができるかどうかを確認し、難しいようであれば歯茎と骨の治療をおこなってからインプラントを行うようにしましょう。
周囲の歯にも影響が出る
歯が抜けて骨が痩せていくと、その抜けた歯だけではなく周囲の歯にも影響が出てきます。それは周囲の歯の骨も徐々に痩せていくからです。抜けた歯をそのままにしておくと、抜けた部分だけではなく、周りの歯を支えていた骨が痩せることで他の歯も支えられなくなりドミノのように抜けていってしまうのです。
見た目が老ける
歯が抜けていくと顎の骨が細くなり、これまで顎があった部分の肉が下に垂れ下がることになるため、見た目が老けていきます。顎の肉が落ちれば頬の肉も下垂するため、全体的に衰えた印象になることと、インプラントなどで治療しなければ、咀嚼できるものも食べられる食べ物も減っていくため注意が必要です。周囲の歯に影響が出る前にすぐ対処しましょう。
つまり、歯を削ればエナメル質がなくなって歯の抵抗力がなくなり、段々と弱っていって抜歯することにもなりかねません。そのため、歯を削る前に治療方針をよく話し合ってから治療を始めるようにしましょう。
健康な歯は削らない治療から
先ほどご説明した通り、歯を削ってしまえば二度と元通りにはできません。できる限り元の歯を削ったり抜いたりしない治療をしている歯科医院を選び、その上で歯自体をいじらずに取れる治療方法を相談するようにしましょう。