歯周病や外傷などで歯を失ってしまったとき、あなたはどんな治療方法を思い浮かべますか?失った歯の治療としては主に、ブリッジ・(部分)入れ歯・インプラントの3種類があります。
今回はあまり知らない方も多い、インプラント治療のメリット・デメリットについてご紹介します。他の治療法との違いもご説明していきますので、歯の治療方法で悩んでいる方はぜひ参考にしてみてくださいね。
■インプラント治療とは
インプラントとは、歯の代わりにチタン素材のネジのような形の歯根を顎の骨に入れ、上に人口の歯をかぶせる治療方法のこと。文字通り根っこからの治療なので、他の治療方法と違い、顎の骨が痩せていくことがありません。
根っこからの治療を行うのでしっかり噛めますし、健康な歯と変わらないような日常を過ごすことができます。耐用年数も長く約10~30年程度は持つといわれています。
対するブリッジ・部分入れ歯についても、治療法をご説明しておきましょう。
ブリッジは失ってしまった歯の両脇にある歯に橋をかけるように人口の歯をはめるという治療方法です。約8年程度は持つといわれています。
ブリッジをするときに両脇の健康な歯を削り、人工の歯がはめやすいようにする必要があります。見た目は健康な歯と同じように見えますが、噛む力が衰えること、顎の骨が痩せること、そして両端の歯への負担は止められません。
部分入れ歯は、両脇の歯にバネを引っ掛けるようにして入れ歯を固定する治療法です。バネがあることへの違和感やガタつきがあり、健康な歯より噛む力が弱まります。口を開けたときにバネが見えるので、入れ歯だとわかってしまう心配もあります。
また、部分入れ歯に食べ物が挟まることが多く、不衛生になりやすいこと、ブリッジと同じく顎の骨が痩せること、両端の歯への負担は止められません。
ブリッジや部分入れ歯は保険適用内のため、費用が安く、早急に対処できるのが魅力です。
■インプラント治療のメリット5つ
では、インプラント治療を選んだ場合のメリットについてご紹介していきましょう。
1.健康な歯のように固いものも噛める
顎の骨にしっかりインプラントが入っているので、グラつきがなく、健康な歯と変わらない噛み心地で食事などを楽しめます。「固いものが噛めない」という心配もありません。
2.顎の骨が痩せない
顎の骨に根っこがあることによって、顎の骨が痩せていくことがありません。根っこがなくなると、顎の骨がどんどん痩せていくので、上からかぶせたりした場合にも隙間が空いてくる可能性があります。
インプラントの場合は、そんな心配がありません。
3.他の歯に影響がない
ブリッジは抜けた歯の分の圧力を両端の2本で負うことになるため、非常に負担が大きいです。また、部分入れ歯に関してもバネで両端の歯に負担がかかるのは変わりません。入れ外しを繰り替えすことでもダメージが蓄積します。
インプラントの場合は他の歯に関係なく抜けた1本だけ治療をすれば、以前の健康な歯と同じ使用感で日常を過ごすことができます。
4.見た目も健康な歯に近い
インプラントはチタンのネジ歯根に人口の歯をかぶせるのですが、オールセラミックを選べば、健康な歯と変わらない印象をキープできます。
5.骨に固定するから違和感がない
ブリッジの場合も違和感がありませんが、部分入れ歯の場合はガタつきが生じ、違和感を覚える方も多いです。
6.話す、食べるなどにも支障がない
部分入れ歯のように食べ物が挟まりやすい、あるいは話すときに口内を気にしてしまうといった心配はありません。ブリッジの場合も顎の骨が痩せてくると隙間ができるので、食べ物が挟まる、人の目が気になるということも考えられます。
7.取り外すなどの面倒がない
取り外しがないので、健康的な歯と同じ過ごし方ができます。また、取り外しによる管理の面倒さがなく、今までと変わらないメンテナンスでOKです。
8.メンテナンスを続ければ、約10~30年程度持つ
歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやフロスでの清掃、そして歯医者での定期メンテナンスを行えば、約10~30年持つといわれています。
メンテナンスを面倒に感じるかもしれませんが、インプラントだけでなく健康な歯を保つためにはこのようなメンテナンスが必要です。
■インプラント治療のデメリット5つ
メリットばかりに思えるインプラント治療ですが、デメリットはあるのでしょうか。5つのデメリットをご紹介します。
1.顎の骨にインプラントを入れる手術が必要
インプラントは根っこからの治療ですので、顎の骨にボルトのような歯根となるチタンを入れる外科手術が必要となります。手術後は内出血や痛み、腫れなどを伴う場合も。また、場合によって、骨と顎の骨が定着するまでに少々時間を要することもあります。
2.治療ができない場合もある
重度の骨粗しょう症・糖尿病の方などは、治療ができない可能性があります。また、妊婦・子供もインプラント治療は難しいです。
3.保険適用外の自由診療
先ほどご紹介したように、入れ歯やブリッジとは違い、保険適用外の治療となるため費用が高くなります。また、医院によって費用が異なりますので、よく検討してから治療を始めてください。安すぎるところは経験不足のこともありますのでご注意を。
4.定期的なメンテナンスが必要
自分自身で毎日の歯磨きや歯間ブラシ・フロスでの掃除を行った上で、歯垢や歯石のチェック、人工歯根の状況を見てもらいに歯医者に通うようにしましょう。
5.治療期間が長い
人それぞれ違う顎の形状に合わせた手術プランのためのチェック、手術人工歯根を入れてから定着するまで、そして人口の歯をつけるまでに時間がかかります。その間仮歯を入れて過ごすことができるものも多いので、自分が選ぶ医院が対応可能かを調べておきましょう。
■まとめ
食べる、歩く、物を持ち上げる、人と交流する、すべてのことに通ずるのが歯です。歯があれば元気に暮らせる時間が長くなるわけですから、自分の今後を充実した人生にするためにも、長い目でインプラント治療を検討してみてはいかがでしょうか。