歯を失うことと、記憶力や運動能力が下がるという話をあなたは耳にしたことがありますか?「歯を抜けたままにしておくとよくないとは聞くけど、記憶力や運動能力にも影響があるなんて…」と驚かれた方も多いのではないでしょうか。

歯を失うような年齢になったからではないか、かみ合わせなどが関係あるのか、などさまざま憶測される方のために、歯と記憶力・運動能力との関連を解説していきます。

ぜひ参考にして、歯に対する意識を改めてみてください。

 

■日本人と欧米人の歯に対する意識格差

日本人は予防歯科の意識が欧米に比べて低いと言われているのはご存じでしょうか。欧米では歯列矯正をすることが当たり前といわれており、歯ブラシの交換も頻繁、ホワイトニングに関しても関心が高く、予防・審美歯科の意識が高いことで有名です。

対して日本は歯ブラシを交換する頻度が欧米に比べて低く、歯列矯正をすること自体もそこまで一般的ではありません。歯医者に行くタイミングは虫歯や親知らずの抜歯など、問題が起きてからというケースが多く、メンテナンスをしにいく場所という認識はあまりないのです。

そのため、自覚症状はないものの歯槽膿漏になっている方が多いといわれています。

■歯を失う原因とは?

事故や怪我以外に歯を失ってしまう原因としては、先ほど挙げた虫歯と歯槽膿漏が2大要因です。虫歯は痛みを我慢し続けて治療しない場合、虫歯菌が歯の根元にまで到達すると抜くしか無くなる場合もあります。特に歯槽膿漏の場合は、歯の土台となる歯茎や顎の骨が溶けていってしまうため、1本だけでなく複数本が抜けていってしまう場合が多いです。

歯槽膿漏は歯と歯茎の間の歯垢や歯石をエサに歯周病菌が繁殖し、炎症を起こします。そしてそれがさらに悪化すると膿を伴うようになり、悪臭が出るようになります。それと同時に歯茎や顎の骨が溶けていき、歯がぐらつくようになってくるのです。

それからさらに進行すると、歯が上下にも動くようになり噛むと痛みを伴う場合も。その後、自然と歯が抜け落ちるような状態になります。

歯槽膿漏は歯を失うだけではなく、歯周病菌が血液にも回って動脈硬化などの問題や、糖尿病を悪化させることもあります。自己判断をせず、定期的にメンテナンスに行くようにしましょう。

■歯と記憶力の関係性

虫歯や歯槽膿漏、あるいは事故や怪我などで歯が抜けてしまった場合、記憶力にはどのような影響があるのでしょうか。

アメリカでのとある研究では単語を思い出せるかどうかを、歯が残っている人と全く残っていない人で比較し、大きく差が出たことを発表しています。つまり、心身機能が低下することと歯が残っていないことには、関連性があるということです。

また、歯が抜けてしまっていることで、均等な咀嚼ができないという状態が続くと、顎の骨・脳などへの刺激も減ってしまいます。刺激が減ると、脳の活性化にも影響が出るのではともいわれているのです。

さらに、歯がないことで痛みなどを伴う場合、注意力が散漫になることもあるため、記憶力にも影響があると考えられているのです。

■歯と運動能力の関係性

  • アスリートの歯のメンテナンス事情

アスリートの歯並びを見ると、どのアスリートも綺麗な歯並びをしていることが多いです。想像してみるとイメージできるかと思いますが、アスリートの方が力を入れているときには歯を食いしばっているように見えることがよくあります。

歯がしっかり残っていれば咀嚼ができることで健康的に食事を摂ることができます。また、アスリートの中で虫歯をもっている人の率が一般人に比べて少ないということや、噛みしめる力が一般の方に比べて大きいということも発表されています。

  • 歯のかみ合わせが生活に与える影響

さらに、かみ合わせが体のバランスにとっても大切ということもわかってきています。かみ合わせで傾きが出れば、首の骨、背骨、骨盤、ひざと体の重要部分の骨の歪みにもつながってくるのです。アスリートはほとんどの場合矯正をして力を発揮できる状態、そして体のバランスを保ちやすい状態を作っています。

アスリートでなくても、高齢者で歯が残すように心がけることが、寝たきり予防にもなるといわれています。自然歯であればなおよいですが、入れ歯でもないよりはあった方がバランスを保つ能力が上がるとも考えられているのです。

かみ合わせがよければ、体のバランスがとりやすいだけでなく正しい姿勢を保ちやすいともいわれています。猫背などになれば、本来は背骨のスプリングで吸収できる5kg以上ある頭の重さを、背骨や首の骨に負担をかけて支えることになります。

それが原因となって肩こりや首こり、そして背骨などの歪みにつながってくるのです。また、猫背になると呼吸が浅くなり、胃腸などの内蔵が圧迫されます。そして血行も滞りやすくなっているので、新陳代謝が悪くなることも。

さらに筋肉を使わない姿勢であるため、基礎代謝も下がって太りやすくもなります。かみ合わせから体のバランスが変化し、猫背などに発展すると他にも弊害が出てきますので、健康な歯と歯並びをキープすることが重要といえます。

  • 少子高齢化時代の日本に必要な歯を残す考え方

少子高齢化、寿命が伸びていっている日本人にとっては歯を残すように努力することは非常に重要になってくるといえます。美味しく食事を摂る、運動をする、日常生活で転倒しない、ひいては寝たきりにもならない状態を長引かせることができるわけですから、歯に対する意識を改めて持ちたいものです。

まずは何かが起こってからではなく、「何も起きないように定期的に歯医者にいく」という考え方を身につけましょう。定期的なメンテナンスをしていれば、健康な歯をキープすることができますし、歯に対する意識もどんどん上がっていくはずです。

 

■おわりに

これまで予防歯科の考えがあまりなかった日本人にも、徐々に矯正や定期メンテナンスの考えが広がってきている昨今。記憶力と運動能力をできるだけキープし、健康寿命を延ばすためにも、歯を失うことのないケア方法を身につけていくことが重要になってきます。

自分や家族の健康を守るためにぜひ、歯に対する意識を変えてみてはいかがでしょうか。